「HTML5」という言葉を聞いたことがあっても「HTML Living Standard」は聞いたことがないという人は多いと思います。2021年に廃止となったHTML5と、実質的な後継モデルのHTML Living Standardについて知っておくことでウェブサイトを制作する上で役に立つかもしれません。
ぜひ、HTMLの歴史も少しだけ学んでおきましょう。
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HTMLの策定からHTML Living Standardに至るまでの歴史
HTMLは元々、W3C(World Wide Web Consortium)という組織が管轄していて、それが世界標準となっていましたが、開発者と利用者の意見に耳を傾けない運営方法だったり、HTMLの開発についての提案を否定するような姿勢に腹を立てたMozillaとAppleとOperaは、WHATWG(Web Hypertext Application Technology Working Group)という組織を立ち上げ、W3CのHTMLとは違う新たなHTMLを作ることにしました。
これが、HTML Living Standardです。
この時点では歴史上に「W3CのHTML」と「WHATWGのHTML」という2つのHTMLが誕生していましたが、Google、Mozilla、Microsoft、Apple、OperaはWHATWGの策定したHTML Living Standardの仕様に従ってブラウザを開発することになり、実質的にW3CのHTMLを採用する開発会社がいなくなったことで、W3CのHTMLはHTML5.2というバージョンを最後に2021年1月28日で廃止となりました。
HTML5とHTML LivingStandardの違い
HTML5とHTML Living Standardの違いは、ほぼありません。これはWHATWGの1.2 Is this HTML5?に「In short: Yes.」と書かれているように、WHATWGのHTML Living Standardは「いわゆる今までのHTML5」と同じです。
これは広義の意味でのHTML5の中に「W3CのHTML5」と「WHATWGのHTML Living Standard」があったと解釈すると分かりやすいです。
そのためHTMLの最初に記載するDTD宣言も、いわゆる従来のHTML5と同じように行います。
<!DOCTYPE html>
追加や変更、削除された要素
HTML5とHTML Living Standardでは追加や変更、削除された要素があります。
追加された要素
- <hgroup>
- <slot>
変更された要素
- <cite>
- <link>
- <meta>
- <style>
廃止された要素
- <param>
- <rb>
- <rtc>
ポピュラーなものでは、CSSをインラインで記載するためのstyle要素はbody要素の中に書くことはできなくなっていたり、見出しと説明をグループ化するhgroup要素が追加されています。
自分の作ったものがHTML Living Standardに準拠しているか確認するにはバリデーションチェックツールが用意されていますので、URLを指定するか文書をアップロードすることで検証することができます。
さいごに
HTML Living Standardは日々進化しています。適切なコーディングを行わないとクオリティの低下に繋がり、既存ユーザーが離れていくだけでなく新規ユーザーを獲得するためのSEOにも影響してしまいます。
基礎を把握して適切なコーディングをするように心がけましょう。