未経験からどうすればウェブデザイナーになれるのかをまとめたロードマップです。転職や新卒でフリーランスのウェブデザイナーを目指そうと考えている方は、ぜひ、参考にしてみてください。

ゴールを決める

まずはゴールを決めましょう。勉強を始めておおよそ6ヶ月から遅くて1年ほどで最初の案件を獲得できるようになるのが目標です。いつまでに自分がどうなっていたいのかを考えてプランニングしてください。「副業として30,000円/月は欲しい」や「本職として自立する」という明確な目標を立てましょう。

時間とお金と相談する

ウェブデザイナーになるためには高性能なパソコンやアプリ、スクールに通うならスクールの費用もかかります。また、勉強する時間も作らないといけません。時間とお金が確保できるのか、そしてそれが継続できるのかを考えましょう。

必要なアプリを準備する

プランニングができたら早速プロが使うアプリをインストールしましょう。すでにパソコンを持っている場合はアプリがスムーズに使用できるか、今からパソコンを買うのであれば目的のアプリがスムーズに使用できるスペックかを確認してください。アプリがスムーズに動くスペックは下記の通りです。

CPU (Windows) Intel Core i7 第10世代以降 / Intel Core i5 第12世代以降
CPU (Mac) M1チップ以降
メモリ 16GB以上
解像度 1920×1080以上

ウェブデザイナーはウェブデザイン、コーディング、ときにはDTPも行います。どのアプリもプロが現場で使う必須のアイテムになっているため、それぞれの操作感などを事前に把握しておきましょう。

Adobe Photoshop

Photoshopは画像の編集やバナー制作などに使用するフォトレタッチアプリです。

Adobe Illustrator

Illustratorはイラストなどを制作するときに必要なドローイングアプリです。

Figma

Figmaはウェブデザインをするためのアプリです。

Microsoft Visual Studio Code

Visual Studio Code(VSCode)はHTMLやCSS、JavaScriptなどのコードを書くときに使用するアプリです。フロントエンドからバックエンドまで幅広いユーザーに使われています。

技術と知識を身に付ける

では、次にウェブデザイナーとしての必要な技術と知識を学びましょう。ウェブデザインを学ぶ方法は基本的に「ウェブスクール」と「独学」の2系統があるため、それぞれメリットとデメリットを把握しておく必要があります。

ウェブスクールで学ぶ

ウェブスクールは3ヶ月から1年ほどでウェブデザインに必要な知識が全て学べるのが最大のメリットです。スクールによってはメンターが用意されているので、制作物の添削だけでなく個別のアドバイスなんかも受けられます。メリットが多いウェブスクールですが、受講料が高く、さらに教室に通うスクールもあるので時間の融通が利かないのがデメリットです。

  • 短期間で基礎が全て学べる。
  • お金がかかる。

自分で学ぶ

独学の最大のメリットは自分の好きなペースで学習できるところです。早朝でも真夜中でもいつでも好きなタイミングで勉強ができます。ただ、ウェブスクールと比べると学習スピードが遅くなりがちで、さらに制作物の添削を行ってくれる人がいないため、今のやり方や勉強方法が合っているか分からないというデメリットがあります。

  • お金がかからない。
  • 自由なペースで学習できる。
  • 勉強方法を自分で確立する必要がある。

独学で学ぶなら1冊ですべて身につくHTML & CSSとWebデザイン入門講座を参考書にして、実践はProgateCodestepで行うのがおすすめです。また、独学で注意してほしいのがYouTubeで学ぶことです。YouTubeにはたくさんの動画がありますが、信頼性の低いことを喋っている人も多く、情報が古い可能性が高いためおすすめしません。

独学で大切なこと

ウェブデザインを独学するならウェブサイトのトレースがおすすめです。トレースをすることで構成やタイポグラフィ、マージンの使い方やバランスなど様々な基礎を習得できます。デザインとしてトレースができたら実際にコードを書いて実践していきましょう。1時間で制作できたら30分を目指し、基礎ができたら応用しましょう。

独学を諦めそうになったら

いざ独学で始めてみたは良いけど学習方法が分からない、でもスクールは避けたい、などの場合にはメンターを探してみるのもおすすめです。だいたい10,000円から20,000円/月ほどで継続的なコーチングを受けられ、案件の獲得のコツやキャリアの相談などもできる人が多いです。

ただ、メンターは自分で探さないといけないため当たり外れがあるのが事実です。だいたいは信頼できると思いますが、中には信頼性に欠けるメンターもいるので注意が必要です。特に、素顔や本名を隠す、デメリットを言わない、コミュニケーションがチャットのみ、などのメンターには依頼しないほうが良いでしょう。

メンターは、MENTAなどのサービスで探すことができます。

ポートフォリオを制作する

ウェブデザインとコードを学ぶことができたらポートフォリオを制作しましょう。ポートフォリオとは今までの制作物を載せたファイルのことです。ポートフォリオは自分の実績を見てもらうだけのものではなく、センスや技術を披露するチャンスですので、テンプレートなどは使わずに全て自分のオリジナルで制作することが大切です。

この時点では実績がないと思いますので、トレースしたウェブサイトや応用して作ったバナーなどをレイアウトしておきましょう。

業界をリサーチする

ここからは後半となります。デザインの基礎とコードが身に付きポートフォリオも完成したら、ランサーズクラウドワークスなどのクラウドソーシングサービスに登録して、どんな案件が多いか、その案件をこなせる技量があるかを統計的に見ていきます。例えばWordPress化する案件が多い、Figmaを使った案件が多いなど、リアルな流行が分かりますのでそれに対応できるのかを判断していきます。

知らないことがあれば率先して調べて身に付けることを習慣化してください。

営業して実績を積む

この段階ではポートフォリオに載せる実績が足りていません。実績は多いほどクライアントの信頼に繋がりますので、このフェーズでポートフォリオに載せる実績を作っていきましょう。ホームページを持っていないお店などにメールで営業をかけたり、知り合いを通じてホームページを作成していきます。

この営業活動は、営業スケジュールや複数案件が重なったときの調整を行うための勉強であることも忘れないようにしましょう。

案件を獲得する

いよいよ最終段階です。フリーランスはクライアントから案件を獲得して納品して初めて仕事が成り立ちます。ここまでに実績を積んでポートフォリオも充実しているはずなので、クラウドソーシングサービスを使って案件を獲得していきましょう。

クラウドソーシングサービスには数多くの案件が存在しますが、その案件の倍以上に応募者がいることを忘れないでください。また、競合が多くて案件が取れなくても異常に安価な案件には応募しないようにしましょう。

買いたい病に注意

また、「買いたい病」に注意してください。買いたい病とは不動産投資の用語で、長期に渡って良い物件を購入することができずに、本来の目的である「良い物件を買う」ことではなく、「どんなものでも良いから物件を買う」という考えにシフトチェンジしてしまうことです。買いたい病になってしまうと、「収入は少なく忙しい」という現実になってしまいます。

単発案件と継続案件

クラウドソーシングサービスの案件には「単発案件」と「継続案件」があり、それぞれの特徴があります。まずは実績を得るために単発の依頼をいくつかこなして、ある程度自信が付いてきたら企業と契約して継続案件に挑戦するのがおすすめです。

単発案件

単発案件とは、「コーディングだけ」や「ロゴだけをデザイン」など1回限りで終わる案件のことです。個人のクライアントが多いため、複数こなしていくことで交渉術などビジネスコミュニケーションを身に付けることができ、さらに実績を積むことができるでしょう。

継続案件

継続案件とは、1年などのスパンで仕事がある案件のことです。基本的にクライアントは企業で、契約してしまえば長期的な収入を得ることが可能です。企業によっては実力テストや学力テスト、面接など普通の企業に勤める場合と変わらないステップを踏む必要があるため、「この会社と仕事がしたい」と思える企業に絞って応募するのが正解です。

どちらもプロとしての自覚を持ち、連絡は怠らない、納期を必ず守る、などの常識を忘れないようにしてください。信頼が次の仕事を手に入れる武器になります。

ヒヨコ食いと悪質クライアントに注意

相手の経験が浅いことが分かったら「案件が取れる」などのトークで高額な書籍などを販売してくるのが「ヒヨコ食い」です。昔からある情報商材の詐欺のようなもので、多くのものが信頼できる内容ではありません。また、「初回なので5,000円以下でお願いします」や「初心者の方は実績を積めます」など正当性がありそうなことを言って安価で仕事を振ってきたり、デザイン案件のはずが追加料金なしでコーディングまで頼んでくる悪質なクライアントもいます。この2点には注意してください。

よくある質問

よくある質問をまとめました。

何から始めれば良いか分からない。

まずはこれからの人生におけるプランニングを行ってください。その次にアプリのインストール、その次のスクールに通うか独学で行うかの勉強方法を決めてください。ウェブデザイナーになるには6ヶ月から1年が目安です。最初の案件は1年以内に取るように意識しましょう。

勉強方法が合っているかわからない

独学の場合はメンターを探し、デザイン添削をお願いしてみてください。MENTAでは10,000円/月から20,000円/月ほどで個別のメンターと契約することができ、独学でもスクールに通うような感覚で知識や技術を学ぶことができます。

勉強する時間がない

No Pain, No Gainです。痛みを無くして得るものはありません。勉強する時間を作ってください。おすすめの方法は起きてから寝るまでの全ての行動を1週間タイムログとしてデータ化することです。そのタイムログを見返すことで勉強に充てられる時間を捻出することができるかもしれません。

勉強は少しずつでも毎日行えるような環境を作りましょう。

勉強方法が分からない

すでに公開されているバナーやウェブサイトはデザイン基礎の宝庫です。バナーやウェブサイトをPhotoshopやIllustrator、Figmaなんかを使ってひたすらトレースを繰り返しましょう。また、トレースしたデザインはHTMLやCSSを使ってコーディングを行ってください。反復練習を繰り返すことでデザインの基本が身に付きます。基本ができたら応用していきましょう。

案件が取れない

応募件数が10件ほどだとクライアントとミスマッチしているだけかもしれないので気にする必要はありませんが、100件応募しても案件が取れない場合は自分に何か足りないのかもしれません。ポートフォリオで自分の思いやセンスが伝わるか、メッセージは真摯な内容なのか、設定料金は適切かを見直してみましょう。

さいごに

最初に思い描いたゴールは果てしなく遠い道でしょうか。それとも楽しそうで短い道でしょうか。いずれにしても自分の未来の姿を描くことができたら、あとは実行するだけです。

ただ、もし歩いている途中で道に迷ったらお気軽に相談してください。目の前の困難を解決できるはずです。